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2007年11月19日、沖縄。第47回日本爬虫両棲類学会に参加したK・T、Y・T、D・Tの3名が、やんばるの闇にまぎれて両生類の観察をおこなった後、宿で語り合ったのがグループ発足のきっかけでした。あの日本一美しいと言われるイシカワガエルや、綺麗なハナサキガエルを観察した夜のことです。残念ながら、日本では両生類の生態をメインに取り組む研究室はほとんどなく、この3人も他分野の研究室で独学しているに近い状況でした。何とか皆で連絡を取り合って、両生類についての研究相談、情報交換、輪読会などをおこないつつ切磋琢磨していこう!と意気投合したのです。あの日から、はや4年。このネットワークを活かしながら各自の研究を進め、満を持して、『両棲類生態勉強会』を発足させるに至りました。明日、いよいよ新体制の発足です!

2011/11/18


【参加者】たろ、山本(ニックネーム募集中!)、きよみん、ずっきー、コロ
【発表者】きよみんさん
【発表テーマ】幼生における活史の特徴対して温度が与える影響 (p. 628~632)

【主な議論】
①春になると幼生の発生速度が速くなるのは、カエルでは一般的なのか?
→温度が上がると餌のがも増え、成長速度と発生速度が早くなる?
   

②変態のトリガーになる要因は何か?
→Wilber-Collins モデルでは、変態するのに必要な最小体サイズが存在し、それを超えると変態が始まるという。
→体サイズと関連するかはわからないが、体内のホルモン分泌量が徐々に高まり、十分に分泌されている状態でなんらかの”きっかけ”が与えられたときに変態するのではないか?
→ホルモンの量が閾値に達する、もしくは”きっかけ”が与えられるまでに、どれほどのエネルギー(餌+α)を取り込んでいたかにより、変態時の体サイズが変わる。

③春になると発生速度よりも成長速度の方が急速に上昇するのは越冬幼生だけか?
→孵化直後の幼生でも同じような現象が認められるのであれば、越冬幼生が大きくなることには関係ない話のようにも思える。
→冬を経験すると、相対的な温度差の影響を受けやすくなるというようなイメージか?

④成長速度と発生速度の違いは?
→ステージ更新を伴う = 発生速度
 ステージ更新を伴わない = 成長速度

⑤高標高域の個体群(気温低、幼生期間が長く、変態サイズ大)と低標高域の個体群(気温高、幼生期間が短く、変態サイズ小)の卵の入れ替え実験の結果について
・幼生期間 = 入れ替えの効果が認められた(幼生期間が短くなった) → 環境要因の影響?
・幼生の成長速度と変態サイズ = 入れ替えの効果が認められなかった(変化無し) → 遺伝的要因の影響?

→しかし、交雑個体の幼生期間は、入れ替えの効果が認められなかった = 相加的な遺伝子の影響をうけているのではないか?
(レジュメなしではわかりにくいので、レジュメを見ながらみてください)

⑥表現型の可塑性について
→ある形質を遺伝的に獲得していると言うことは、進化の歴史の中で、過去にはその形質により適応度をあげられたということか?

2011年11月18日

参加者:りく、たろ、しとみん、いまづん、との、きよみん
発表者:りく
査読者:きよみん

範囲:Pp.632-637 生活史戦略的視点から見た幼形成熟
Paedomorphosis as a Life-History Strategy
日時:10月19日(水) 22時~

今回は、初発表のりくさん(トウホクサンショウウオ)、初参加のとのさん(トウダル・ダルマ)、お二方のニックネームが決定しましたよ~。
途中参加でいまづんさんの音声不調も、諦めずに頑張っていただき(笑)ちゃんとつながりましたね!良かったです。
りくさんの質疑に対する受け答えの上手さのお蔭で、たくさん議論ができました。
発表の仕方や質疑応答など、見習うべきところがたくさんあり、勉強になりました。ありがとうございます!


〈ディスカッション要旨〉
・有尾類の成体と幼生の違い:肺呼吸と鰓呼吸

・頭骨の形(成体は丸く、幼生はサクマドロップ型/笑。鰓の穴が閉じることで形が変わる)

・食性は変わらず肉食

・幼形成熟は両棲類以外に知られているか?:
おそらく魚類、昆虫類(ガの仲間→幼虫のまま成熟・ホタル→メスは幼虫の形のまま)

・幼形成熟の条件で考えられるものとは?:
低温→甲状腺ホルモンが作られず、変態による上陸ができない。
水位の減少→干上がる頻度によって、幼形成熟の割合が変わることもある。

・幼形成熟とアルビノに関係はあるか?:変態に失敗したイモリにアルビノが多いが…。
幼形成熟する個体のほとんどがアルビノとは限らない。
アルビノになる比率が高い種で、幼形成熟するものが多い。

・幼形成熟で有名なウーパールーパーが、たまに変態する条件とは?:ホルモン処理や水位を徐々に下げること。

・ウーパールーパーの鰓が小さくなるのはなぜ?:溶存酸素量が少ないため→鰓呼吸から腸呼吸にシフト(ちなみに、ドジョウも腸呼吸する)

・幼形成熟は、条件次第で変化する性質(表現型可塑性)か?遺伝子によって決定されている性質(遺伝的差異)か?:
今回の範囲で言うと、両方がはたらいているといえる。

2011年11月18日